アジア制覇へ、剛腕が再始動した。野球のU18(18歳以下)アジア選手権(9月3日開幕、宮崎)で連覇を狙う高校日本代表が27日、都内近郊のグラウンドで立大と練習試合を行った。金足農(秋田)の吉田輝星投手(3年)は試合前、甲子園決勝以来6日ぶりにブルペン入り。順調な回復をアピールした。今日28日の大学日本代表との壮行試合には登板しないが、チケットは早々と完売。甲子園で見せたフィーバーは、まだまだ継続中だ。

吉田は時折笑顔を見せながら、30回右腕を振った。立ち投げで全力ではなかったが、軽快な投球だった。881球を投じ“カナノウ旋風”を巻き起こした甲子園決勝から6日ぶりのブルペン投球。「だんだんよくなってきている。我慢していたので、久しぶりに強く投げられて楽しかった」と笑顔で汗をぬぐった。2日間は別メニュー調整だったが、初めてアップからチームと行動した。板川相手のキャッチボールでは、約50メートルの遠投も。「立ち投げのために十分に遠投しました」と、準備はできていた。

自ら、ブルペン入りを直訴した。永田裕治監督(54)は「本人が投げたいということでしたので」と説明した。合宿当初は「こちら側が抑えて、東京ではゆっくりさせようと思う」としていたが、吉田の意欲に心を動かされた。今日28日の壮行試合に登板しない方針は変わらず、吉田も「宮崎に行ってからが本番になる。自分の力を出し切って2連覇に貢献したい」と先を見据える。

登板は先だが、間違いなくチームの中心にいる。前日の26日夜、バッテリーミーティングを開催した。主将、副主将に投手がいないため「投手リーダーを決めよう」という声が上がり、吉田と柿木らが選ばれた。この日の練習試合では1点を追う5回、一塁コーチを務めた。「みんなは準備が大変。自分は試合に出ないことが決まっていたので、できることはやろう」。チームの一員として、率先して役割を果たした。チームはこの回、主将の中川の逆転2点適時打などで一挙3点。そのまま勝利した。マウンドには立たなくても“吉田効果”があった。

チケットが完売している壮行試合でも、チームの中心吉田がマウンド外から“旋風”を再現だ。【久永壮真】