<U18アジア選手権壮行試合:高校日本代表3-7大学日本代表>◇28日◇神宮

一流の中に入っても、超一流は際立つ。高校野球100回大会の日刊スポーツ編成部長を務めた前ロッテのサブロー氏(42)が、U18日本代表の大阪桐蔭・根尾昂内野手(3年)の打撃をチェック。プロ仕様の木製バットで新たな姿を見せた「NEO・根尾」の打撃を高評価した。

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木製バットを持った根尾が、2回の第1打席は左前打、5回の第2打席は中越え三塁打を放った。金属バットの時から打席でのリズム、振る力、スイングの軌道は木製バットを苦にするタイプには見えなかったが、やはりそうだった。大学生を含めたアマチュアの一流選手が集まっても、超一流のプレーは際立った。

技術的には、バットを持つグリップは体に近い内側から出て、ヘッドは外回りする。バットを長いムチをしならせるように使えるから、ボールに当たるインパクトが強くなる。“しならせる”分、スイング軌道は地面と平行なレベルスイングの時間が長くなり、ヒットになる確率は上がる。技術的な裏付けがあるが、何より素晴らしいのはいつも一定のリズムで打席に入れること。高校生に対してできることが、年上の大学生相手でも変わらない。いつも同じ間、同じタイミングで、同じスイングができる。

これはプロで一流の打者になる条件になる。私の身近な選手では福浦さん(ロッテ)や青木(ヤクルト)がそう。オリックス時代の谷さんに打撃のコツを聞きに行った時も「いつも同じルーティンで、同じタイミングで、同じスイングすること」と教えられた。イチローさんを思い浮かべれば分かりやすいだろう。打って、守って、走れて、投げられる根尾は、立ち居振る舞いもイチローさんとの共通点を感じる。

大阪桐蔭・藤原も走攻守そろった好選手だが、まだ自分のリズムで打ち切れない打席がある。例えば三塁へ適時内野安打を放った第3打席。150キロ近い球速がある東北福祉大・津森に対して、当てにいこうとするスイングになった。根尾は直後に3球三振に倒れたが、結果は関係ない。いつも自分のリズムで、同じスイングができることが打者としての一番の強みだ。

プロはどの球団もほしい選手だろう。どこに行っても1年目から1軍で活躍できる力がある。ショートを守れて、打てる20年に1人の選手。ドラフトでは何球団が1位競合するか。各球団のチーム事情はあるが、評価は揺るぎないだろう。