秋田フィーバーが止まらない! 国体で4校1位となった硬式の金足農に続き、3年ぶり13度目出場の能代が準優勝を果たした。準決勝で慶応を1安打完封の4-0で下し、決勝は1日の初戦で無安打無得点をマークしたエース児玉拓海(3年)が先発。4季連続全国大会優勝を飾った中京学院大中京(岐阜)に0-3で敗れはしたが、今夏の全国で初戦負けした悔しさは晴らした。

夏の悔しさを、一気に吹き飛ばした。主将の大山椋也捕手(3年)は準優勝の表彰状を持って、堂々と行進した。8月の全国は、大会開幕前に甲子園で準優勝した“カナノウフィーバー”に全く乗ることができず、まさかの初戦敗退に終わっていた。

大山 夏の悔しさを、国体にぶつけるつもりだった。今までやってきたことを普通に出したかった。この大会に懸けていた。

大山をはじめ、遊撃の原田卓明、左翼の中川大周(ともに3年)の3人は能代一中軟式野球部出身だ。中3の全中秋田予選準決勝では、既に県内で評判でのちに金足農へ進む吉田を擁する天王中を撃破し、東北大会に出場した。3-1で投げ勝った当時のエース原田は「吉田は中学の時からすごかった。甲子園の決勝で投げた投手に投げ勝てたのは、今となっては誇りです」と目を輝かせる。そんな素質を秘めた3人があえて硬式を選ばず、全国優勝2度を誇る名門の能代軟式野球部に集結したのには理由があった。

大山 硬式でも軟式でも、目標とするところは一緒。能代の軟式は、全国優勝できるチームだと思って選んだ。全国で戦えるレベルのチームでやりたかった。

硬式でも十分通用する高い技術水準を披露した。大山は1日の初戦でエース児玉の無安打無得点試合を引き出し、この日のダブルヘッダーでも巧みに2投手をリード。それでも胸に引っ掛かるのが、金足農の存在だった。「カナノウに続いて国体アベック優勝を果たしたかった。そこは正直、悔しい」。それでも、自信を持って選んだ道でつかんだ国体準優勝はかすまない。胸を張って、能代に帰る。【高橋洋平】