龍谷大平安(京都3位)の多田龍平捕手(2年)が延長12回の熱戦に終止符を打った。1点を失った直後の延長12回裏2死満塁、多田が振り抜いた打球は右翼へ飛んだ。「二塁ランナーが生還するか気になっていて、かえってきてくれてうれしかった」。サヨナラの2点適時打に、多田はナインから抱きつかれ祝福された。実は初戦の天理戦からこの打席までノーヒット。「初戦以来ヒットを打てていなくて、チームに迷惑をかけていた。最後の最後でなんとかヒットが出てくれてよかった」。校歌を歌うために整列しても、涙が止まらなかった。

失点を悔やんだまま、打席に入っていた。0-0で迎えた延長12回表、多田は目の前に転がった打球をファンブルし、失策から先頭打者を出塁させていた。1死二塁から左翼越え二塁打を浴び、先制を許し「正直切り替えられなくて、この回は(投手の)野沢に任せてと思っていたけど、自分は終わってしまったなという思いもあった」。ベンチに戻ってからも「すまん」「すまん」と謝り続けた。

その直後に回ってきたチャンスの打席。気持ちの整理がつかないままバットを握ったが、2ボール2ストライクと追い込まれ、勝負を決める覚悟が決まった。

原田英彦監督(58)は多田の決勝打に「お手玉してあれはまずい、と反省していた。そういう気持ちがヒットにさせたんじゃないかな」と話した。5年ぶりの優勝を決めた龍谷大平安は、9日に開幕する明治神宮大会に出場する。「(失策の)ああいうプレーは自分の弱点で課題。しっかり練習から自分をつめてやっていきたい」と多田。また1つ課題を克服して、新たな大会に臨む。