2月に明桜(秋田)の野球部総監督兼投手コーチ就任が発表された元横浜(現DeNA)監督で、巨人などで長年投手コーチを務めた尾花高夫氏(61)が21日、本格指導をスタートさせた。ブルペンでは雨の中、投手陣を指導。投内連係では自らノックをするなど精力的に動いた。月に最低10日間ほど指導を続けていく予定だ。

現役時代はヤクルトで通算112勝。投手コーチとしてはヤクルト、ダイエー、ソフトバンク、巨人でリーグ優勝9回、日本シリーズ制覇4回を経験した優勝請負人だ。昨年、同校からの誘いを快諾、12月に学生野球資格回復研修を受け実現にこぎつけた。プロとの違いについて「変わらないですよ。子どもの能力をどうやって引き出してあげるか。基本を勘違いしていることもあるし、きちんと教えれば成果は確実に出る」と穏やかに話した。

輿石重弘監督(55)は「僕らが経験したことがない話を伝えてくれる。私自身も勉強させてもらっている」と加入を喜ぶ。巨人ファンの加藤洋平主将(3年)は名前を聞いてもピンとこなかったが、「投手交代のマウンドでボールを渡していた人だ」とテレビで見た名コーチに興奮気味だ。

投手に一番大切なのは「ストライクを投げること」と単純明快。そして「成長するためには考えることと行動の質を高めることが大事」。数々の名投手を育てた信条をぶらさず、新たな指導者人生のスタートを切る。【野上伸悟】