第91回選抜高校野球大会(甲子園)は28日、出場32校による1回戦全16試合を終えた。ネット裏から視察した巨人長谷川国利スカウト部長(56)が注目した選手などを語った。

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【投手】

◆横浜(神奈川)及川雅貴投手(3年)…明豊(大分)戦に先発し、2回2/3、5安打5失点。

ものはいい。ブルペンでは、すごい球を投げていた。明豊戦の1回の投球練習で、8球中3球、すごいバウンドを投げていた。それで、おかしくなったのかな。でも、スライダーのキレ、走る姿、躍動感、体のバネはある。あれだけで評価を下げるわけにはいかない。

◆星稜(石川)奥川恭伸投手(3年)…履正社(大阪)戦に先発し、3安打17奪三振完封勝利。最速151キロを記録。

今すぐ1軍で投げても、5つくらい勝つんじゃないか。引退したばかりの、うちの脇谷スカウトも「すぐプロで投げられる」と言っていた。

変化球の精度もあり、投球の組み立てもできている。イン、アウト、どっちにもキッチリ投げられる。高校野球の大会に1人だけ、プロが交じっている感じ。28年間、スカウトをやっているが、何本かの指に入る。

スピードガンは今の方が出るが、ストライクゾーンに来る球の威力がある。高校生では、なかなかいない。角度もあって、球がふけない。球質もいい。直球のスピンが効いていて、変化球の曲がりが遅い。投げ方はともかく(巨人菅野)智之も、そういう感じ。

◆広陵(広島)河野佳投手(3年)…八戸学院光星(青森)戦に先発し、3安打完封勝利。

◆石岡一(茨城)岩本大地投手(3年)…盛岡大付(岩手)戦に先発し、10回1/3、5安打3失点でサヨナラ負け。

2人とも高校生としては、いろんな球を操れて、直球にも力がある。

【野手】

◆桐蔭学園(神奈川)森敬斗内野手(3年)…啓新(福井)戦で3安打1打点。

野手なら、森でしょう。体は大きくないけど、高校時代の井口(ロッテ監督)や(広島)田中広輔よりポテンシャルは高い。足が使えるし、スローイングもいい。

◆星稜(石川)山瀬慎之助捕手(3年)…履正社(大阪)戦で3安打1打点。

キャッチャーは山瀬が断トツ。イニング間の二塁送球も、試合の時と同じように後ろで構えてから投げている。他の子は、試合ならバットが当たるんじゃないか、というぐらい前で構えているけど。それでも、山瀬は二塁送球が1秒8台を出していた。奥川のリードも考えてやっていた。

◆習志野(千葉)角田勇斗内野手(2年)…日章学園(宮崎)戦で1安打3打点。

2年生だけど、ショートの動きがよかった。三遊間、二塁ベース上、両方の動きがいい。スローイングの動きも小さい。楽しみ。

【総論】ここ何年かは、清宮ら野手のスーパースターが多かった。今回は奥川君1人が何人分かを集約している。大学・社会人の1位候補と比べても、将来性という「げた」を履かせなくても、横並びで1位候補になる。毎年12人は1位に入るが、どの時代でも最初から競合する逸材だと思う。