東邦(愛知)の石川昂弥主将(3年)が広陵(広島)との強豪対決で投・打・走にフル回転し、チームをベスト8に導いた。1回に二盗を決めて先制のホームを踏み、3回には高校通算43号のソロ本塁打。投げては広陵打線を6回4安打無失点に封じた。「右の強打者」として今秋のドラフト候補と目される大黒柱が“平成の最初と最後のセンバツV”へ、東邦を引っ張る。

背番号1の石川が走った。マウンドに上がる前の1回表の攻撃。1死一塁から内野ゴロで一塁に残ると、次打者の5球目に二盗を決めた。5番吉納の右前打で完璧なスタートを切り、先制のホームを踏んだ。投球への影響は「走ってちょっと疲れて、頭を使った方がいいんです」と気にしない。「僕が走って、みんなも走りやすくなったと思う」と、チームで7盗塁の機動力を引き出した。

ドラフト候補の片りんは3回に飛び出した。高めのスライダーを左中間席に運ぶ高校通算43号。甲子園初アーチに「ちょっと興奮状態。うれしかった」と笑顔をみせた。最速150キロの広陵・河野をマウンドから引きずり降ろす契機となり、流れをグッと引き寄せた。

投げても魅せた。6回を4安打無失点。直球の最速は142キロも、球速には興味がない。「コントロールが大事。今日は内角を真っすぐで突けたんで、外のスライダーが生きました」とうなずいた。無走者でもセットポジションで制球に集中。「打つ方が好き」という右腕は、試合をつくることだけ考えていた。

秋の成績は大会出場校中トップのチーム打率3割8分6厘、1試合平均9・47得点、同盗塁数4・06個。そんな猛打の大黒柱が、力を出し切った。森田泰弘監督(59)も「石川が打つとチームのノリが良くなります」とたたえた。石川は「初戦は硬かったけど、今日は自分たちの力を全部出せました」と主将の顔で喜んだ。平成元年の89年センバツを制し、平成最後の今春も-。東邦を引っ張るキャプテンのギアは、トップに入った。【加藤裕一】

◆石川昂弥(いしかわ・たかや)2001年(平13)6月22日、愛知・半田市生まれ。亀崎中では愛知知多ボーイズ所属。エンゼルス大谷翔平投手のファン。好きな食べ物はオムライス。好きなタレントは新垣結衣。家族は両親、姉、弟。185センチ、81キロ。右投げ右打ち。