元阪神・中谷仁監督(39)率いる智弁和歌山がベスト8で姿を消した。

昨秋の近畿大会準決勝のリベンジマッチは壮絶な幕切れとなった。2点を追う5回、先頭の西川晋太郎内野手(3年)からの3連打と犠飛で同点。しかしそれ以降は、7回に無死から東妻純平捕手(3年)が左越え三塁打を放つなど、再三得点圏に走者を進めるも、好投手・中森の前にあと1本が出なかった。延長戦突入ムードが漂う中、決着が着いたのは9回。明石商先頭の来田涼斗外野手(2年)にこの日2本目となる右越え本塁打をたたき込まれ、サヨナラ負けを喫した。

12対0。5回コールドで明石商に大敗した秋をナインは1日も忘れたことはない。「この悔しさ忘れないように貼っとけ」。指揮官の一声で、ロッカールームの壁には大敗が刻まれたスコアボードの写真が貼られた。中にはスコアの写真を携帯電話の待ち受け画面にする選手も。苦い記憶を、思い思いの形で頭の片隅に置き続けた。

リベンジに用意されたのは甲子園という最高の舞台。15日の抽選後、勝ち進めば明石商と準々決勝で当たると知った指揮官は「これはそういうことやぞ」とナインに喝。「絶対に負けたくない相手」とナインは口をそろえたが、接戦の末に再び跳ね返された。試合後、中谷監督は「僕の責任だと思います。勝つつもりで何とかと思っていた。優勝することを目指してやってきたので志半ばで負けたのは監督の責任。夏は勝ち上がっていけるように選手と一緒に汗を流していきたい」と再起を誓った。主将で主軸を担った黒川史陽内野手(3年)は「甲子園は甘い場所じゃない。夏に帰ってきて最高の場所にしたい」。強くなった姿で聖地に戻る。