春季高校野球岩手県大会(17日開幕)の組み合わせ抽選会が9日、盛岡市内で行われ、高校通算36本塁打の主砲・石塚綜一郎捕手(3年)が、大船渡の最速163キロ右腕・佐々木朗希(3年)との初対戦を待ち望んだ。今冬は逆方向にも長打を打てる技術を習得。1回戦では黒沢尻北との近隣校対決が決まった。夏に83年以来の甲子園切符をつかむためにも、春から強豪を連続撃破して勢いをつけるつもりだ。大船渡は1回戦で釜石と対戦する。

石塚が佐々木朗希攻略に自信の表情を浮かべた。大船渡とは逆ブロックになったため、対戦は決勝か3位決定戦。「県内の同じ選手として投手としても打者としても憧れる存在。夏に向けて、春に対戦したい。変化球も素晴らしいですが、絶対的な武器の真っすぐを狙っていきたい」。最速163キロの速球を動画でイメージ。「自分なら打てるだろうなという気持ちもあります」と力を込めた。

1年秋には東北大会で8強入りしたが、2年時には昨秋の県大会2回戦敗退など、悔しさも味わった。内角打ちの弱点克服へ、関東の強豪社会人チームに武者修行も行ってきた。「インコースの球も逆方向に打つイメージが出来てきた。春になってどの方向にも強い打球が飛ぶようになってきた」。引っ張り専門を払拭(ふっしょく)。内角打ちや、広角長打の手本にもしている巨人坂本勇人内野手(30)を動画でも研究を続けながら、プロ入りへの夢も追う。

北奥地区予選でも本塁打を放ち、手応えを得た。投手との二刀流で捕手からマウンドに上がる場面もありそうだ。「自分としては投手として三振を奪ったり、ピンチを抑えたりすることも楽しい」。投打に優れた佐々木にもライバル心を燃やしている。

同校は83年夏以降、甲子園出場から遠ざかっており、古豪復活が期待されている。県大会では右手甲負傷で離脱していたエース右腕・田沢潤(3年)も復帰予定。86年夏に秋田工を率いて甲子園出場を果たし、青森大も全国に導いた石橋智監督(58)と二人三脚で打力を培ってきたラストイヤー。石塚は「成果を試しながら、勝っていきたい。1点欲しいところで打ちます」。勝負強さでチームを引っ張る。【鎌田直秀】

◆石塚綜一郎(いしづか・そういちろう)2001年(平13)6月7日、秋田市生まれ。岩見三内小3年に岩見三内スポーツ少年団で野球を始め、岩見三内中では秋田南シニアでプレー。黒沢尻工では1年春からベンチ入り。右投げ右打ち。181センチ、83キロ。握力は右68、左69の怪力。家族は母と祖父。血液型B。