三条が81年春以来(当時は4強)の北信越大会(6月1日開幕=富山)の出場を決めた。村上桜ケ丘に3-1で勝った。エースの丸山尊仁(みこと)投手(2年)が被安打6の1失点に抑え、9回初完投した。決勝はきょう12日、北越に逆転勝ちした日本文理と長岡市悠久山野球場で午後0時半に行われる。

粘投を派手なガッツポーズで締めくくった。三条の2年生エース丸山投手は、右握りコブシをアッパーカットのようにすくい上げながら顔をクシャクシャにして喜びを表した。村上桜ケ丘・最後の打者・工藤健太捕手(3年)の打球を熊倉紳太郎左翼手(3年)がグラブに収めるのを確認すると、歓喜を爆発させた。9回完投勝ちは、練習試合を含めて初体験。「最高でした」と言った。

「いつ(村上桜ケ丘)打線が爆発するか、怖くて、怖くて」と平沢周太郎監督(46)はゲームを振り返った。北信越進出がかかった大事な準決勝を2年生に託したのは、主将の井上大輝一塁手(3年)らと相談の上。指揮官は「丸山だと、おっかないな、と思った」とちょっぴり危惧していたが、エースは1失点だけで初完投した。試合途中で右ふくらはぎをつりながらも集中も乱さない。「体力的には未熟」と2年生は北信越への課題もみつけた。

初完投で、丸山は自信をつけた。持ち味は四球1個の制球力。「投げたいところに直球が決まった。決めたいところに決めれば、打たれない」とコーナーを突いた。前日は井上大主将と小林丈一郎捕手(3年)の3人で投球の組み立てを相談。打ち合わせ通りに投げ、完投した。「自分の力をしっかり発揮できた」。

名前は尊仁と書いて「みこと」と読む。両親から「どこにもない名前。尊敬される人になれ」という願いを込めて命名された。初完投のマウンドは、尊敬に値する奮投だった。【涌井幹雄】