札幌光星が、17年夏の甲子園出場の北海から12安打で11点を奪い、7回コールド勝ちした。選抜枠で道大会に出場する札幌大谷と同ブロックのため、15日の代表決定戦を待たずに、13年以来6年ぶり10度目の春全道切符を獲得した。

今春デビューしたばかりの近藤昇真二塁手(3年)が、人生初の4番で4打数4安打3打点と気を吐いた。初回2死二塁で右前打を放ち、先制点をお膳立て。4-0リードの2回1死一、三塁では中前適時打で5点目をたたき出し、試合の流れを引き寄せた。「とにかく自分にできることだけをやろうと。しっかりセンター方面に返す、自分の打撃をすることだけを考えた」。4回1死三塁で再び中前適時打を放つと、6回2死三塁では左翼への適時二塁打を放った。

初戦の札幌清田戦から2戦10打数7安打3打点と大当たりだ。10年以来9年ぶりの難敵北海討ちに貢献した背番号4は「まずは全道に出られて良かった。これで、またチーム内競争が激しくなる。まだ先はあるので、さらに気を引き締めたい」と前を向いた。

昨秋は地区予選が背番号14、全道大会が13でベンチ入りも出番なし。168センチと小柄な近藤昇は、パワーが課題だった。「力がなく、打球を飛ばそうとすると力んで逆に飛ばなかった。少しリラックスしても飛ばせるようにするには、体を大きくしないといけない」。冬場に意を決し、おにぎり4個を毎日持参し「おなかがすく前に食べるといいと聞いたので」と常に胃袋を満たしておく“空腹ゼロ作戦”で体重を4キロ増の72キロに上げた。筋力も並行して上げ「打球の勢いが一気に変わった」。今春いきなり7割の高打率で全道切符をもたらした。

15日の代表決定戦は王者札幌大谷と対戦する。昨夏の南北海道大会初戦は9-2で破っており、道内で最後に土をつけたのが札幌光星だ。最寄り駅は、同じ札幌市営地下鉄東区役所前駅。「顔見知りの札幌大谷の選手とよくすれ違う。今は向こうがすごく輝いて見えて悔しい。代表決定戦で勝って、夏に向けて嫌なイメージを植え付けたい」。10カ月ぶりの“最寄り駅ダービー”を制し、勢いをつける。【永野高輔】