神戸国際大付(兵庫)が柴野琉生(るいき)外野手(3年)の2打席連続弾など12安打8得点で、郡山(奈良)に7回コールド勝利した。今大会2試合連続2桁安打と好調打線を武器に、決勝進出を決めた。

180センチ、83キロ。柴野が、大型スラッガーの打力を見せつけた。初回無死一塁からスライダーを捉え左越え2ランを放つと、勢い止まらず3回にも再び左翼席にソロ本塁打。「公式戦は初」という2打席連発弾で「甘い球を逃さず、感触も悪くなかった」と、高校通算本塁打数を48に伸ばす出来栄えだった。

野球を始めたきっかけは意外にも、漫画『ROOKIES』だった。同作品は、不良生徒で集まった野球部が甲子園を目指すという物語で、08年にテレビドラマ化し人気を博した。当時小学1年生だった柴野も、ドラマ版に夢中になり「やんちゃでも甲子園に行けるんだ」。テレビ画面に映る、野球部員たちが甲子園を目指す姿に感動し、自身も野球を始めた。お気に入りの登場人物は、俳優・市原隼人が演じたエースで4番の「安仁屋恵壹(あにや・けいいち)」で、当時は録画を何度も見返すほど『ROOKIES』に夢中になった。

今でも映画版を見返すというが「今は野球一筋で集中しています」と笑う。2年冬からは、オリックス・吉田正尚外野手の打撃フォームを参考にしており、「1番力が入る」とヘッドを下げるなど、工夫を凝らす。「自覚と責任が芽生えました」。強豪校の主軸を担うほどの、実力も意識も兼ねそろえている。

同校は17年夏の甲子園に出場し、当時1年生だった現在の3年生数人はボールボーイとして甲子園の土を踏んだ。この夏は自力で甲子園出場をかなえるラストチャンスになる。「(選手たちは)本当に甲子園に行きたいと思っている。もうあと1カ月。ブレずに思いっきりやって欲しい」と青木尚龍監督(54)は期待を寄せる。

「近畿大会を夏につなげたい」。柴野が憧れる場所は11年前も今も変わらない。まずは近畿を制覇し、夏への試金石とする。【望月千草】