札幌地区で、創部100周年の札幌工が延長10回の末、札幌北を6-3で下し、夏は16年以来3年ぶりに初戦を突破した。節目の年を見据え、北海OBで94年夏の甲子園8強を経験した佐藤友貴監督(43)が就任した昨秋、専門のメンタルトレーナーをつけ、精神面を改革。

冬場にOBから寄贈された2台のトレーニングマシンで鍛え上げた肉体もフル稼働し、94年以来25年ぶりの南北海道大会進出を狙う。

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札幌工が、粘り勝った。同点の9回裏無死二塁、サヨナラのピンチで、原康介捕手(3年)の二塁けん制で1アウト。内野安打で再び走者を抱えると、エース品田幸希(3年)が遊撃への併殺打に打ち取り、10回表の3得点につなげた。これで大正、昭和、平成、令和の4時代で勝利。品田は「終盤、踏ん張れたのが良かった。何とか節目の年に1つずつ勝って、南北海道大会に出たい」と意気込んだ。

昨秋は初戦で札幌清田に7回コールド負け。佐藤監督が就任すると、まずは、週1回メンタルトレーナーを招き、考え方を改革してきた。過去の偉人や思想家の言葉をまとめたCDを流し、各自が頭に残った言葉を、自分の言葉に置き換える。品田は「自分の意思を言い続ければ結果につながる」という言葉に触発され、ミーティングの度に「自分が最後まで投げきる」と、言い続けてきた。この日は延長10回を141球で被安打9、5奪三振。「9回裏の場面も、その言葉を自分に言い聞かせることで、力がわいてきた」と振り返った。

1919年(大8)創部から100周年を控え、OBからは冬場のトレーニング用にと、ボート競技の動きを再現する「エルゴメーター」2台が寄贈された。時間を設定したタイム競争や、距離を設定し何メートルこげるかを競いながら瞬発、持久力ともに強化。品田は冬場で500メートルを1分30秒から1分に縮め、1分間のタイム競争の距離を、335メートルから346メートルに伸ばした。「それだけやってきたという自信が、最後の粘りにつながったと思う」と効果を口にした。

11月には100周年式典が開催される。1901年創部の北海出身、佐藤監督も節目や歴史の大切さを知っている。「OBの方たちが、いろいろな形で応援してくれている。何とか、式典でいい報告ができるように」。メモリアルサマーの進撃で、式典に花を添える。【永野高輔】

▽札幌工主将・今川天馬遊撃手(3年) (3回に好守、9回裏の併殺打の場面では好送球で貢献)集中して試合に入れた。次も自分たちのやってきたことを信じて戦いたい。

◆札幌工 1916年(大5)10月に北海道庁立札幌工芸高校として開校した全日制・定時制併置の工業高校。全日制は機械科、電気科、建築科、土木科の4学科、定時制は機械科、電気科、建築科の3学科があり、校訓は「重厚堅実」。野球部は1919年(大8)創部で、今季は佐藤友貴監督、高木健司部長、部員数41人。