室蘭地区では、春の全道王者、駒大苫小牧が静内を7-1で下し、12年ぶり8度目の夏の甲子園に向けて好発進した。

春季全道大会決勝で右手甲に死球を受けて途中退場した大沼恒介三塁手(3年)が本格復帰。背番号も18から5に“昇格”し、3安打1打点と気を吐いた。チームも全快ボーイにけん引され17安打の猛攻。04、06、07年と同じように、春王者から夏の聖地を目指す。

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春の横綱、駒大苫小牧が猛打で夏のスタートを切った。初回から8回まで毎回、打ちも打ったりの17安打。大沼も2回に二塁への内野安打、4、7回は打球を三遊間に転がして合計3安打を放った。本格復帰の一戦で7番打者として打線を活性化させ「とにかくつなげることだけを考えた」と振り返った。

万全の状態で初戦を迎えた。春季全道大会決勝、苫小牧工戦の9回、内角直球を右手甲で受けて途中退場した。表彰式は三角巾をつけ臨み、終了すると病院に直行した。精密検査での診断は打撲。10日間は片手でのティー打撃などで調整して、「間に合って良かった」と笑顔を見せた。

その全道大会で自信をつけた。春の地区は9打数1安打も、全道は14打数6安打と奮起した。好投手を相手にボールを長く見て食らいつくスタイルを確立。この日の3安打は内野守備の間を突く打撃だった。佐々木孝介監督(32)が「打率の順番」という背番号は、春全道の18から5になった。「18でも5でもチームの思いを背負いたい」と臨んでいる。

OBの佐々木監督は04年に主将として春に全道優勝、その夏に全国制覇を果たした。前日26日に「自分は良い打撃をしようとしてドツボにはまってしまった」と、注目を浴びて出場する地区大会の難しさを、苦い経験談を交えて伝授した。気合は大事だが、必要以上の気負いは良くない。大沼は「1戦1戦、泥臭くやろうと思った」と気を引き締めた。チームもコンパクトにバットを振ることを心がけ、17安打はすべて単打だった。

3回の守備時では相手走者のスパイクが左手の指のつけ根に当たり悪夢がよぎったが、すぐに治療は終わりグラウンドに戻った。「負けたら終わり。緊張感がありますね」と大沼。春夏道大会連覇を成し遂げた先に、12年ぶりの夏の聖地がある。【西塚祐司】