小樽、札幌地区で代表決定戦が行われ、南・北北海道大会(南=15日から札幌円山、北=12日から旭川スタルヒン)32代表が出そろった。

2年連続の夏甲子園を目指す北照は4-0で小樽双葉を下し、5年連続の南大会進出を決めた。エースで4番の桃枝(もものえ)丈(3年)が11奪三振で完封。打っては先制弾を含む2本塁打を放ち今春、敗れた相手にリベンジを果たした。

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171センチの体にリベンジの炎が燃えていた。北照の大黒柱、桃枝が投げて、打っての大活躍だった。直球とスライダーを両コーナーに決め、11奪三振で完封。打っては2本のソロ本塁打を記録した。2回は狙いすました内角のスライダーを左翼席に運ぶ、先制弾をかっ飛ばした。

「高校野球で一番楽しかった」。春の悔しさを晴らし、笑みを浮かべた。今春の地区代表決定戦。延長11回9-14で、チームは初めて小樽双葉に敗れた。甲子園に春夏9度出場の強豪校として、2季連続で負けられない意地がある。敗戦後は寮で毎日、相手の試合映像を見て打者のイメージを脳裏に描いてきた。この一戦への思いが強すぎ、前夜は夕食が喉を通らず、睡眠時間もいつもより2時間短かった。

変化を求めた。春季大会後に投球フォームを修正。地面とほぼ水平だった右横手からのリリースポイントを、約20センチ上げた。期間は約1カ月半しかなかったが「何か変わらないと勝てないと思った」。この日の球速は、自己最速を8キロ更新する143キロ。気迫も違った。前回は9回に連打で2点差を追い付かれた。この日も4-0の9回に2死満塁のピンチを迎えたが、最後は三ゴロでシャットアウト。以前は淡々と投げていたが、感情をむき出しにしてナインを鼓舞した。

チームとしても追い込んできた。大会前には3部練習を敢行した。部長時代を含め、18年目の上林弘樹監督(39)は「質、量ともに過去最高にやりました」という。たくましくなったエースの姿を見た指揮官は「桃枝もそうだが、全員が短期間でどんどん成長する。昨年に負けないくらい今年のチームも好き」と目を細めた。

この夏、狙うのは5年ぶりに甲子園に出場した昨年の先輩を超える全国の白星だ。「挑戦する側の立場になれて意味のある春だったと思います」と桃枝。悔しさを乗り越えた北照は、まだまだ、もっともっと強くなる。【西塚祐司】