第101回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の山形大会が、11日に開幕する。

羽黒の最速145キロエース右腕・篠田怜汰(3年)に注目だ。昨夏の甲子園で背番号1をつけて登板。だが、新チーム以降は本調子になく、秋の東北大会準々決勝敗退や今春の県大会2回戦敗退からの復活に挑む。

今年4月のU18高校日本代表1次候補合宿に参加し、大船渡(岩手)の最速163キロ右腕・佐々木朗希(3年)からも刺激。切れ味鋭い直球と制球力が戻ってきた手応えは得ている。

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羽黒山の麓(ふもと)にある羽黒の校舎。見下ろした田園風景の中に、真っ赤にそびえ立つ大鳥居。昨年11月に約90年ぶりに建て替えられて高さ32メートルと、ひと回り大きくなった羽黒のシンボルのごとく、篠田も生まれ変わってきた。

「去年の甲子園みたいに、140キロ前後のストレートを、アウトロー、インローにキレ良く投げ分けられることと、緩急の投球が自分の持ち味。調子は上がってきた。夏は全試合で完封できるくらいの気持ちで臨みます」。連覇の象徴となるべく、意気込んだ。

昨夏の山形大会は背番号11でリリーフが多かったが、甲子園ではエースとしてマウンドに上がった。奈良大付に4失点で敗れたが、好投。だが、山形に戻ると長い手足を生かした投球フォームに躍動感が消えた。秋は東北大会出場もセンバツ出場を逃した。今冬は1周約180メートルの体育館でひたすら走り込んで、体を作り直した。1周30秒などタイムも自己設定。それでも今春は県大会初戦で山形学院に5-0から逆転負けを喫した。打たれても完投させたのは、完投責任を植え付ける渋谷瞬監督(37)の荒療治でもあった。

今春はU18日本代表候補にも選出され、合宿に参加した。そこで大船渡・佐々木を始め、星稜(石川)奥川恭伸投手、創志学園(岡山)西純矢投手、横浜・及川雅貴投手(すべて3年)の「BIG4」とも交流した。特に大船渡・佐々木とは意気投合。「速いボールを投げるには体の柔軟性が大事なことを、あらためて気付かせてもらった」。欠点だった股関節の柔軟性を高めながら、ドッジボールを使った投球練習でフォーム固めに終始してきた。

6月下旬の新潟遠征で日本文理(新潟)相手に久しぶりに登板。直球だけで4回1安打無失点。「やり直してきたことが結果に出て、自信が持てた。夏はチャレンジャー精神で一戦必勝」。「BIG4」にも負けない姿を甲子園で披露する。【鎌田直秀】