第101回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)を目指す南・北北海道大会の組み合わせが5日、決まった。南大会(15日開幕、札幌円山)は、2年連続17度目出場の知内が、初戦で札幌創成と対戦する。春の地区敗退後「笑う門には福来る」など、変革のための5カ条を設定。真剣に練習しながら随所に笑いをちりばめる独特な野球で、夏は初の甲子園を目指す。北大会(13日開幕、旭川スタルヒン)は、平成元年以来31年ぶりの聖地を目指す帯広北が、北見北斗と対戦する。

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笑って笑わせて、チームを活性化させる。対戦相手が決まり、知内の森愛斗主将(3年)は「どこが相手でも、どんな状況でも笑って勝利を呼び込む。自分たちのスタイルを南大会でも貫いて、甲子園を目指したい」と意気込んだ。

お笑いの聖地、大阪出身の吉川英昭監督(43)が思いついた秘策が、土台にある。昨夏は3年ぶりに南大会に出場し、初戦で優勝した北照に1点差と接戦を演じた。だが、新チームでは昨秋、今春と地区予選敗退。チームの雰囲気を変えようと「そうだ、笑いだ。明るくいこう」と、今夏の地区予選前に、野球部変革のための“5カ条”をつくって、選手に配布した。

第1条に「ポジティブベースボール」、第3条には「ほめことばをいろいろに」とあり、ミスをしても「ダメじゃないか」は禁句だ。「次はこうしていこう」と、味方がより明るく前向きにプレーできるようなメッセージを掛け合うことで、自他ともに、気持ちを高め合ってきた。

最後の5カ条目は「笑う門には福来る」。人を笑わせることを考えることで、頭の柔軟性を鍛える。練習や試合の合間に、吉川監督が突然リクエストを出す。最初に力量を試されたのは主将の森だ。練習中に「だじゃれをひとつ」との要望に「アルミ缶の上にあるミカン」と返し“一発合格”。森は、今夏の地区初戦でのシートノック開始前にも「何か面白いことを」と問われ「ヒデアキ(監督の名前)カモンッ」と思い切った発言で、チームの緊張を解きほぐした。

吉川監督は「厳しくやるときは厳しく。楽しくやるときは楽しく。そういう切り替えも大切」と言う。森主将は「今では、われ先にという感じで、面白いことを言いあえるようになってきた」。野球と同時に、お笑いセンスも向上させながら、聖地を引き寄せる。【永野高輔】