投打にわたる大活躍でセンバツ優勝に導いた東邦の主将、石川昂弥投手(3年)が夏の初打席、初スイングで大アーチをかけた。

「3番三塁」で先発。初回1死一塁から「直球を狙っていた」と内角やや外寄りの直球を一振り。右中間最深部に飛び込む先制の2ランになった。高校通算54号。打った瞬間、球場内は息をのんだような静寂に包まれ、打球が芝生席に着弾すると、客席からはどよめきとともに「ウソだろ」「バケモンだな」と感嘆の声が漏れた。

あとの4打席は全て四球。5打席でスイングしたのは結局、本塁打の1度だけだった。大会直前には少し調子を落としていた。「今日は思い切り振ろうと思っていた。それが結果につながったと思う。今日はよかった。上がってきているかなと」と好感触だ。

試合は8回コールド。春季大会は1回戦で中部大第一に敗れ、ノーシードで迎えた大会。「あの試合に勝って勝ち進むより、あそこで負けてゼロから再スタートという意味ではよかったと思う。1人1人が試合中の役割を考えるようになった」と主将はまさかの敗戦を前向きにとらえる。

センバツで決勝の習志野(千葉)戦に完封するなどエースで5勝。一方で決勝での2発を含む3本塁打と、甲子園では投打で圧倒的な力を見せた。今大会は背番号5を背負い、投手の準備を進めながらも、野手に軸足を置いてプレーする。

6月30日の初戦が雨天順延になり、1週間待った夏の初戦。平成最初と最後の甲子園王者が、令和最初の甲子園Vに向けて、上々のスタートを切った。