甲子園を目指す77チーム(85校)の戦いの火ぶたが8日、切って落とされた。夏の新潟大会では初となった連合チーム同士の対決は高田農・商(高田農商)が、久比岐・柏崎総合(久比岐柏総)を8回コールド、9-2で破った。1番・風間晴喜主将(3年)が3安打2打点の活躍をみせた。9日は1回戦残り6試合が行われる。

   ◇   ◇   ◇

2-1で迎えた4回の追加点のチャンス。高田農商の主将、1番の風間が第3打席を迎えた。「積極的に振ろうと思っていた」。第1打席に左越え二塁打を放っており、ボールは見えていた。高めに浮いた甘い球を中前にはじき返し、走者2人が生還。リードを広げ、試合の流れを引き寄せる一打となった。

連合チームは昨秋に結成。高田農が8人、高田商7人の15人で構成する。「単独で出たい選手もいるはず。難しい判断だった」と大島勉監督(高田商)。秋や春は連合チームで出場しても、3年生にとって最後となる夏は重みが違う。「5月の大型連休まで、合同チームで出ることを決められなかった」と明かす。

練習も簡単にはいかない。練習試合でバントや守備の連係にほころびが出れば、まず平日にそれぞれのチームで練習し、休日の合同練習で合わせる。効果が出るまで時間はかかるが、「コミュニケーションを育むために良い機会だった」と高田商の風間は振り返る。高田農ただ1人の3年生・久保柊真捕手とはグラウンドだけでなく無料通信アプリ「LINE」を使い、互いのチームの状況を確認し合っていたという。

下級生の存在も大きな力になっている。この日、97球を投じて完投した上野飛鳥(高田商1年)は初のマウンドを「楽しんで投げられた」と話す強心臓の持ち主。合同での練習にも「初めての経験で新鮮。やりやすく感じる」とも。

2回戦は今春準優勝の三条が相手。「誰が見ても、三条の方が強いと思うはず。ただ、自分たちも単独チームに勝つことを大きな目標としてやってきた」と連合チームをまとめる風間。大会に“旋風”を巻き起こすことへの意欲をみせた。【山岸章利】

◆夏の連合チーム 2012年・第94回大会、「有恒・安塚」が初めて連合チームで出場。部員不足が理由。以降連合チームが毎年出場し、今夏は13校で5チームが組まれた。

新潟大会の出場校は1984年に初めて100校を突破(101校)。108校を最多に3桁を超えていたが、2004年に99校と100校を下回ると減少が続き、今夏は77チーム・85校の参加となった。