昨年の甲子園で春夏連覇した大阪桐蔭が、苦しみながらも初戦を突破した。東淀川に先制され、3-1の4回にも追いつかれる展開。中盤以降に何とか突き放した。

今年プロ入りした中日根尾、ロッテ藤原らのようなスター選手は不在。今年のセンバツ出場を逃し、今夏を目指して打順、ポジションを固定しない新スタイルを作ってきた。大阪大会3連覇へ、成長しながら勝ち上がる。

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「粘り合って、粘り合って、粘れなかった時点で終わりだと思う」。毎年激戦となる夏の大阪大会の頂点を見据え、大阪桐蔭・西谷浩一監督(49)は力を込めた。昨年は甲子園春夏連覇したが、今年は春の大阪府予選も16強と頂点を知らない。「状況は違うけど、気持ちは一緒。勝つためにやっている」。

初回に先制を許し、2回に3-1と勝ち越すも、4回に追いつかれた。7回の3得点で突き放したが、粘り強い東淀川を相手に苦しい時間が続いた。主将の中野波来(はる)外野手(3年)は「夏の大会とあって、初戦ということで1人1人の動きが硬かったかなと思います」と振り返った。

中野は7回に代走からの出場だった。中野だけでなく、今年は打順もポジションも未固定。西谷監督は「ピッチャーだけでなく、今年はみんなでやっていかなければいけない年」と言い切る。春夏連覇を達成した前年のような力はないだけに、猫の目オーダーで激戦区を戦っていく。

内外野を兼ねる選手が多いため、例年よりも守備練習に時間を割いた。誰がどのポジションを守っても問題なく出来るように、連係1つ1つを大事にした。中野は「例年ならばレギュラーが固定されていますが、今年は内外野を守る選手が多い。その場の状況によって変えていく難しさはありますが、うまくいくことが、チームとしていい状況になるかなと思います」。

12年から大阪桐蔭は毎年甲子園に出場している。今大会前、西谷監督はナインに告げた。「あと1つだけだぞ」。目指してきたのは夏の頂点のみ。喜びと苦しみをどこよりも知るチームは、強い。【磯綾乃】