5年ぶり2度目の甲子園を狙う武修館が旭川明成を2-0で下し、15年以来4年ぶりに準決勝進出した。エース左腕の千葉大夢(3年)が、わずか87球で2安打2四球完封。打者27人で試合を締めた。

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千葉の快投が珍記録を生んだ。2安打、2与四球に野手の失策も1つ。1試合通じて走者を5人許したが、3併殺と2つの盗塁刺で終わってみれば打者27人で料理した。「(珍記録は)試合が終わってから知りました。守備が堅く守ってくれた」と頬をゆるませた。

3回には失策と四球で無死一、二塁のピンチを背負った。それでもコンビを組む舘岡捕手が、二塁走者の大きなリードを見逃さず鋭い送球で刺す(記録は盗塁死)と、さらにその後のプレーで二盗を狙った走者も刺して、結果的に“三者凡退”で乗り切った。

4回には内野の要・武田二塁手が左肩を脱臼した影響で交代。緊急事態となり、4人が守備位置を移動するスクランブル体制となったが、最終9回にも併殺を完成させる堅い守りで逃げ切った。千葉は「(武田交代で)仲間のためにもという思いだった。誰が出ても同じことをするだけです」と、仲間を信頼し続けた。

今春の練習から、通常のノックをやめ、実戦形式の守備練習に変更した。課題を明確にし、1つ1つのプレーへの意識を高めることが狙い。小林正人監督(31)は「生きた打球で練習することでイメージがつかめるようになった」。3月の関東遠征では、春夏合わせて3度甲子園優勝の作新学院(栃木)など強豪校との対戦で、少しのミスが勝敗を分けることを痛感させられた。同監督は「バックが今日は盛り上げてくれた」とたたえた。

次戦は甲子園に出場した14年以来となる決勝進出を目指し、18日に昨年準優勝のクラークと対戦する。千葉は「堅く守って、攻撃につなげる。やることは変わらないです」。あと2戦。チーム一丸でアウトを積み重ねる。【浅水友輝】