球磨工が悲願の「人吉・球磨」からの甲子園出場に向け8強入りを果たした。2点を先制されたが直後に追いつくと、効果的に得点を重ねて、3年連続8強。2015年(平27)以降、5年間で4度の8強以上と近年力をつけてきた。「元祖・クマコウ」の熊本工に対して“お先に”とばかりにこちら「クマコウ」も強さを発揮した。

4回に2点を先制されても、4回と5回に外野からの返球で2度にわたって本塁で刺殺するなど、追加点を許さない堅い守りを披露した。攻撃でも2点を許した直後の4回に安打と四球などで得た1死二、三塁から山路響外野手(3年)が同点とする2点適時打。5回以降は、盗塁と敵失をからめて小刻みに1点づつを追加した。攻守ともにスキのない野球。まるで「本家」熊本工のお株を奪うような戦いぶりだった。

主将の浜砂幸太郎外野手(3年)も「先制されて逆にやってやろうという雰囲気になった。春の準決勝でも熊本工との『クマコウ対決』で勝った。『クマコウ』は僕らだと思わせたいです」と胸を張る。ユニホームには「球工」の文字。今春初めて出場した九州大会では福岡県の選手から「タマコウと呼ばれることもあった」(浜砂)と屈辱? も味わった。地元中学の軟式野球部出身のみの「球磨工(クマコウ)ナイン」が知名度も上げるつもりだ。

監督就任4年目の鹿児島実出身、横馬場徳貴監督(33)も「元気よく、泥臭い野球。昭和の野球をさせてきました。子供らの甲子園出場という悲願を達成させてあげたい」と残り3勝となった頂点まで突き進む。【浦田由紀夫】