東京学館新潟はアクシデントを難なく乗り越えた。3-0で迎えた7回の守備だ。6回まで無失点に抑えていた先発の寺田仁投手(3年)が突然、右ふくらはぎを釣って1球も投げずにリタイアした。

代わった長谷川輝投手(3年)は1安打、2四球の無死満塁で降板。エース田村颯瀬(はやせ)投手(3年)まで注ぎ込んで2点を失い、1点差に肉薄された。

ところが、その裏に一挙5得点の大量点を挙げた。ピンチから大勝へ軌道修正したのは、この回先頭の9番・目黒颯太左翼手(3年)だ。一塁へのバントヒットを決め、圧勝劇の口火を切った。「一塁コーチ(本間航太内野手)から『相手一塁手が後ろに守っているからプレスが弱い』と打席に入る前に言われた」とアドバイスを生かして一塁に転がし、出塁した。長谷和昭監督(58)は「崩れずに踏ん張れるようになった」と7回裏表の攻防を振り返った。

1-0で迎えた4回2死二、三塁の場面で決勝点となる右中間への適時2点二塁打を放ったのも目黒だった。低めのフォークを上半身を泳がせながらすくい上げた。準々決勝の相手は連覇を狙う中越。目黒は「1点多い得点で勝つ野球をしたい」乗っていた。【涌井幹雄】