今年のセンバツ8強の龍谷大平安(京都)が、ヒヤヒヤで準々決勝に進んだ。

西城陽戦は1点ビハインドで9回へ突入。追い込められたV候補は四球を選んだ先頭打者を犠打で進め、1死二塁で水谷祥平外野手(3年)が打席に入った。「心の底から涙があふれてきた。初球は涙で球が見えなかった。ここで打たなかったら一生後悔すると思って打席に立った」。土壇場で感情が高ぶった主将はカウント1-2から右前へ意地の同点適時打を放った。

熱い思いはチームに伝わる。5-5の10回1死から2四死球で一、二塁とし、長畑海飛(かいと)外野手(3年)が水谷の一打に応えた。「自分の長所は気持ちの強さ。執念で打ちました」。普段より2センチ短い80センチのバットをさらに指2本分短く握り、コンパクトにスイング。サヨナラの打球は左翼手の上を越えていった。

センバツで史上16人目の甲子園30勝を達成した原田英彦監督(59)もさすがに「何度もまずいと思った」と打ち明け、額にぐっしょり汗をかいた。「本当は自分が率先して声を出していきたい。でも大声出したら寿命が2年縮んでしまう。選手たちには縮んだ寿命をリセットする時は、お前たちが勝った時だと伝えている。準々決勝からはおかしくなるくらい大声を出していく」。何ともユニークな言い回しでここからの「アクセル全開」を宣言した。

昨夏の合い言葉「お前たち最高だぜー!」に続き、今夏は選手たちとのグータッチで盛り上げる。「まだ考えている」新たなパフォーマンスとともに、3季連続の甲子園を狙う。【山崎健太】