南北海道は準々決勝3試合が行われ、札幌国際情報が古豪北海に10-9でサヨナラ勝ちし、96年以来23年ぶりに4強に進出した。

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食らいついた。9-9の同点で迎えた9回裏1死三塁。札幌国際情報の須田翔外野手は追い込まれながら、北海の3番手井村の直球を振り抜いた。「9回までずっと競っていくという予想はついていた。最後に気持ちが出せてよかった。うれしいです」。中堅手の頭を越す一打は、試合を決めるサヨナラ打となった。

離脱を余儀なくされた仲間の分まで、どうしても結果を残したかった。地区大会の目前だった。ベンチ入りのメンバーが発表される4日前の6月10日のことだ。中堅のレギュラーを務めていた今利之(3年)が練習中にスライディングをした際、右足腓骨(ひこつ)を骨折し、全治3カ月との診断を受けた。須田とは同じ外野手で、通学のバスでは必ず横に座り合う仲だけにショックも大きかった。

須田は帽子の裏に今の名前利之からとった「利」という文字を書き込み、今大会に臨んでいる、また今から「俺のスパイクを使ってくれ」と託され、友のスパイクで3打数3安打2打点を含む、5打席全出塁とチームをけん引した。スタンドから試合を見守った今も「結果で示してくれた。活躍してくれてうれしい」と喜んだ。

チームは96年以来23年ぶりのベスト4進出を決めた。有倉雅史監督(52)は「簡単には勝たせてくれない。気持ちの勝負かなと思っていた。食らいついていく気持ち、諦めない気持ち、粘り強く戦えた」と振り返った。今が「甲子園へあと2つ勝ってほしい。(須田)翔ならやってくれると思う」と言えば、須田も「次また試合ができる。自分たちで歴史を超えようと思ってやってきた。強い気持ちで挑みたい」。夢の聖地まで階段はあと2つだ。【山崎純一】