文星芸大付が「栃木大会コールド最短試合時間記録」で圧勝した。わずか55分の5回コールドで試合を決めた。これまでの記録は、2006年(平18)と07年に合計3試合(いずれも5回コールド)あった1時間4分が最短だった。

7-5と苦戦した初戦の2回戦後、高根沢力監督(45)は「どんな形であれ勝てばいい。これが野球だよ」と選手に前を向かせた。「センターに打つ。ボールは胸に投げる。基本にもう1度返ろう」と声をかけ「今日は修正できていました」と納得の表情を見せた。

先発した前田直輝投手(3年)は背番号「10」。初戦で苦戦したエースの饗庭陽生投手(3年)に「エースなんだからしっかりしろよ」とカツをいれた。自身の初戦となったこの日は5回を投げ、1安打無失点。「ダイヤのエースを5周くらいして、主人公の沢村栄純から気持ちの強さを学んでいます」。趣味である漫画から課題のメンタル面を克服した。「今日は、しっかり気持ちを作って投げられました。ずっとブルペンで投げている感覚でした」と冷静に振り返った。

高根沢監督は前田に「饗庭とダブルエース。今日は90点」と合格点を与えた。前田は次戦は「今日みたいな投球で、圧倒的勝利を目指す」と力強く誓った。【佐藤勝亮】