<高校野球奈良大会:橿原10-0十津川>◇21日◇2回戦◇佐藤薬品スタジアム

十津川(奈良)の応援席から大歓声がわき起こる。20日に敗退した奈良高専の選手たちが声をからしていた。

両校はたびたび合同練習を行い、選手同士の距離も近い。春季奈良大会で奈良高専は準決勝まで勝ち進み、十津川ナインは毎試合応援に駆けつけた。主将の小峠陽太捕手(3年)は「学校は違うが、一緒に練習してきた仲間だ。刺激を受けました」と振り返る。

迎えた夏。一足先に奈良高専の戦いが終わった。主将の扇谷拓実選手(3年)は「今度は自分たちが恩返しする番です」。この日は全員で応援にやって来た。

十津川村の人口は約3000人で、現在の部員数は11人。応援席には控え部員がいない。主将は「応援される喜びは他の高校よりも強い」と笑う。チームの垣根を越えて、かけがえのない仲間に出会えたことが夏の財産だ。【山崎健太】