全国高校野球選手権新潟大会の準決勝は、23日にハードオフ新潟で開かれる。第1シード日本文理と対戦するノーシード新潟は、1894年(明27)創部以来初の甲子園出場を目指して強敵に挑む。

昨夏は4回戦で、優勝候補筆頭だった同校と対戦し、5-3の勝利。エースで4番の笹川拓馬投手(3年)が、昨夏の再現を狙う。

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笹川投手の顔つきには緊張も、気負いもなかった。エースで4番を担うチームの核。「責任はある。それ以上に責任感を楽しめている」と、表情は大一番を前に澄み切っていた。投手としては準々決勝の新潟明訓戦ほか、3試合に先発完投し27イニング345球の防御率2。4番打者としては5試合で20打数7安打の3割5分だ。「投げきる、という決意はある」と日本文理戦では主軸で打ち、先発完投勝ちするつもりだ。

待ち望んできた瞬間を、23日に迎える。「新潟高校の入学を目指すキッカケは(小針)中学2年のときに見た夏の準決勝だった」と笹川は言う。新潟が日本文理に1-3で敗れたゲームを、ハードオフ新潟の新潟側スタンドで観戦した。そのときに決意した「新潟で日本文理を倒す」という目標達成の権利を獲得した。「15年夏と同じチャンスを得た。何としても勝ちたい」。強い思いを話した笹川だが、闘志を胸にしまって冷静だった。

前日調整は打撃練習をメーンに繰り広げた。日本文理投手陣の速球を想定してマシンをマウンドより前に出し、コンパクトなスイングを心掛けた。投球は、疲労を考慮してノースロー。軽いキャッチボールに終始した。ベンチ入りしていた昨夏の4回戦は日本文理に5-3で勝利。「うれしかった」と話したが、背番号18をつけてベンチを温めていただけだった。だからこそ今回、マウンドで打席で、真正面から優勝候補に挑む。準決勝前日の22日、笹川はゼロにあやかって丸く穴の空いたドーナツを食べた。学校側は全校応援で、準決勝を戦うナインをバックアップする。【涌井幹雄】

◆笹川拓馬(ささがわ・たくま)2001年(平13)6月3日、新潟市生まれ。小針中出。野球は小針小3年から始め、中学時代は捕手。本格的に投手になったのは高校から。右投げ右打ち。173センチ、73キロ。血液型A。