10年ぶりノーシードの名門・静岡高が、第1シード浜松商を7-0の7回コールドで下した。

3回に先制し、なお2死満塁で6番城航希内野手(2年)が、左中間を破る走者一掃の適時三塁打。援護を受けた先発の松下静(じょう)投手(3年)が、強打の浜商打線を6安打に抑え完封した。8強入りを懸けた4回戦は、24日に行われる。

   ◇   ◇   ◇

静高のエース松下は、最後の打者を中飛に打ち取ると、右拳を上げて喜びを表現した。7回コールドながら、78球で公式戦初完封。7回2死から連打を浴びたが、終始危なげない投球で浜商打線を寄せ付けなかった。「最後はまずいなと思いましたが、球数も多くなく、テンポの良い投球ができました」と胸を張った。

序盤から冷静だった。早いカウントから打ちにくる相手打線に対し、スライダーやフォークなどの変化球で打ち気をそらした。5回に初安打を許したが、次打者を併殺。6回にも1死一、二塁で、変化球を打たせて狙い通りのゲッツー。要所をピシャリと締める内容に栗林俊輔監督(46)も「ナイスピッチングでしたね」と笑顔でたたえた。

攻撃では、2年生の城が大仕事をやってのけた。「みんながつないでくれたので、決めてやろうと打席に入った。練習試合でもチャンスで打てていたので、自信がありました」。東京都出身。文武両道を志した上、江戸川松江一中時代に所属した硬式野球チームのコーチが静高OBだった縁で、進学を決めた。一般受験で合格し、母とともに静岡市へ。異色の県外出身者が、名門に大きな流れを引き寄せた。

第1シードを撃破し、4年ぶりの甲子園へ弾みをつけた。だからこそ、指揮官は韮山との次戦へ向けて手綱を締める。「こういう試合に勝った次がポイントになる。引き締めて臨みたい」。チームは、試合を重ねるごとに成長。自信を胸に、目標へさらに加速していくつもりだ。【河合萌彦】