エースの仕事を全うした。昌平のプロ注目左腕米山魁乙投手(かいと=3年)は、0-0の6回から登板し、4回を3安打無失点に抑えた。「ブルペンから球は走っていました。打たせて取ることを意識しました」と三振は3つながら、球威で詰まらせてフライアウトを7つ取った。

チームは米山の登板直後の6回裏に1点を先制。8回には一挙5点を追加し、試合を決めた。黒坂洋介監督(44)は「エースが出てきて点を取って。大会中に生まれてくる勝ちパターンというか。出てくると雰囲気が変わる感じといいますかね」と米山の存在感を口にした。

3回戦前日の16日、投球動作の中での力点のタイミングを修正した。「片足を上げる時に軸足に力をためていたんですけど、下げる時に力をためるようにしました」。投球動作がスムーズになり、ボールに力が伝わるようになった。

甲子園出場を見据え、ピークを大会後半に持ってきた。大会中もミドル走などを重ね、ショートダッシュでキレを出す最終調整を行った。「オレンジジュースを飲んだり、嫌いな野菜をしっかり食べたりしています」とコンディション調整にも余念がない。この日、自身の最速を144キロに更新したが「球速は気にしていません。キレを求めます。これからも続くので打たせて取る投球をしたいです」と大会を勝ち抜くことだけを意識する。

4回戦に勝利した翌21日に「なんかふわふわしていた」と黒坂監督の発案で羽生市にある長光寺で初めて座禅を組んだ。米山も「エラーとかでいらいらせず、落ち着いて投げられました」と効果を語る。これで8強進出。初の甲子園出場に向けてまた1歩、前へ踏み出した。【佐藤成】