宇部鴻城が“4度目の正直”だ。夏は3年連続準優勝だったが、最速140キロのエース左腕、池村健太郎投手(3年)が3年分の思いを込めて投打に大奮闘。7年ぶり2度目となる夏の甲子園出場を導いた。

今夏3戦目の先発。「新チームから『夏の決勝を取る』を合言葉にやってきた。自分が最後まで投げ抜き、決勝を取るつもりだった」。魂を込めた130キロ台の直球にカーブ、スライダーを織り交ぜて翻弄(ほんろう)。9回1死一塁、渾身(こんしん)の直球で遊ゴロ併殺に仕留めると、両腕を天に突き上げた。気迫の1失点完投に「監督を男にできたことが一番うれしい。甲子園も投打の活躍を意識したい」と喜んだ。

1年時はスタンドで敗戦を見届け、背番号20だった昨夏決勝戦は、1回途中から8回まで救援したが報われなかった。「(昨夏は)勝ちにつながる投球ができず、(今夏の)決勝で優勝投手になる思いでした」。0-0で迎えた4回には、左中間へ先制決勝の適時二塁打。打線の起爆剤となり、打者12人で一挙7得点の猛攻を導いた。

尾崎公彦監督(49)は男泣きし、「尊敬に値する」とたたえた。「練習量は山口トップクラス。うちに来た以上、甲子園しかないと言ってきた」。外野のポール間をトラックのタイヤを引いて10往復走るなど、重ねた鍛錬が花開いた。今大会はノーシードだったが、3回戦で3連覇を目指した下関国際を倒し、準々決勝では16年決勝で敗れた高川学園を撃破。甲子園では初出場で16強入りした12年超えが目標だ。【菊川光一】