八戸学院光星が2試合連続2ケタ安打の18安打10得点で、智弁学園との乱打戦を制し、甲子園春夏通算30勝を挙げた。

奈良で生まれ育った主砲が、故郷の強豪を打破した。1回2死、近藤遼一内野手(3年)が真ん中高めのスライダーを左中間へ運んだ。高校通算28号の先制ソロ。「地元から離れて青森に来たので、特別な思いもあり負けたくなかった」。相手に中学時代のチームメートや宿敵がズラリと並ぶ中、3、6回の適時打を含む4安打4打点の大活躍。同じ一塁手の智弁学園・吉村から「打ちすぎや」と声をかけられたことも明かし「勝ったなという感じです」と笑った。

甲子園初アーチは、スタンドで応援する母慶子さん(41)への恩返しも込めた1発でもあった。「自分が光星に行くことを決めてから、いつも元気に背中を押してくれています。感謝しかないです」。中学までは料理が苦手な母のために得意のギョーザなどを作って、家族を喜ばせた。時には、弟2人や妹を優しく叱ることもある。母は「私のことも含めて包み込んでくれるパパみたいな存在」という。相手投手を豪快に料理する姿はたくましかった。

同点の9回には2死満塁から途中出場の沢波も奈良出身の意地を見せ、一塁強襲の2点適時打を放って試合を決めた。11年夏から3季連続準Vの先輩たちに憧れて入学。強打の勢いは増してきた。【鎌田直秀】