【機張(キジャン・韓国)30日】日本が苦しみ抜いて逆転で1次ラウンド初戦を制した。格下スペインの情報が少なく、先発右腕ルナの前に7回まで2安打。8回にようやく打線がつながり4得点で逆転した。初戦から国際大会の厳しさを痛感。対応力、総合力が問われる試合だった。

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重苦しいムードを一変させたのは、まさかの「代打・宮城」だった。0-2の8回1死。直前までブルペンにいた宮城が、右の横山の代打に送られた。

左打席から強振。「やっちゃったと思ったら、めっちゃ高く上がって。とにかく走った」。硬めの人工芝で大きくはねて、遊撃内野安打。相手ミスも絡み韮沢、石川、遠藤が3連続適時打とようやく打線がつながり、4得点で逆転した。永田監督は「宮城が流れを変えてくれた」と称賛した。

7回の攻撃終了時。宮城に8回の代打指示が出た。ドラフト上位候補の左腕は投手のイメージが強いが、打撃も評価されている。ベンチに残っていた唯一の「左」の代打候補だった。

継投は池田→前だけ決まっていた。あとは展開次第。前、飯塚、西、そして宮城が複数回、投球練習して待機。佐々木と奥川が万全でない中、エース格の宮城ですらも、救援要員だったと同監督は明かした。

ポリバレント(多様性)は今チームのポイント。投手の西や浅田が野手で出場し、主砲石川が投手もする。永田監督は「あらゆるパターンを想定している」。20人プラスアルファの効果を期待できる一方で、選手が対応していくのは当然難しい。

「投手、代打のどちらかを優先しては準備できないので難しかった。みんながつないでくれた。1人1人がやることをやれた」と陰のヒーロー、宮城は振り返った。初戦から「専門外」の力が突破口を開いた。難しい役割をこなす男たちの働きが、激戦を勝ち抜くカギになる。