【機張(キジャン・韓国)6日】日本が延長10回、タイブレークの末、4-5で韓国に敗れた。

先発した大船渡・佐々木朗希投手(3年)のアクシデントが痛かった。1回、わずか19球で降板。8月末に大学代表との壮行試合でも1回降板の原因となった右手中指の血マメが再発し、ユニホームに赤い斑点がついた。これが高校最後のマウンドになる可能性が高い。日本は2勝2敗となり、決勝進出が難しい状況となった。

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日本が韓国に敗れた。サヨナラ負けの瞬間、佐々木はベンチ前列で動かなかった。表情は硬い。「こういう形になって残念です」。強い意志で臨んだ先発マウンドながら、2回開始時にはもう姿がなかった。

日の丸の白いユニホームに数カ所、血のような赤い斑点がついていた。8月26日の大学日本代表との壮行試合で露見した血マメが、この日のブルペンで再発。5日夜の全力投球練習が遠因になった可能性がある。持ち前の球威がなく、制球も乱れた。

ネット裏の日米数十人のスカウト陣も、どよめかない。150キロ前後、速くても153キロ。評判と違う球速に首をかしげる外国人もいた。捕手水上が白球についた血を見つけ、永田裕治監督(55)を呼ぶ。佐々木は「あと1人、この回だけは」と監督に志願。4番打者を三振に取り、ベンチ奥へ消えた。前列へ戻ると、患部にばんそうこうが巻かれていた。

運命の日韓戦。「とてもアウェーの中で、少しだったんですけれど楽しかった」と話したが、言葉と表情は一致しない。6月末に「甲子園が最大の夢なら、2番目の夢は?」と問われると「日本代表に選ばれて、世界一になることです」と即答した。自慢の速球で夢へ近づけることができず、試合後の声は小さかった。

W杯は、多くても残り2試合。永田監督は「今後(の登板)は難しいです」と明言した。19球降板が、高校最後の登板になった可能性が極めて高い。すでに日本ハムが1位指名を公言しており、10月17日のドラフト会議で名前を呼ばれるのは間違いない。

決勝で出場しなかった岩手大会に続く、不完全燃焼。相次ぐ血マメに佐々木は「何でだろうという思いがあります」と首をひねる。青春のほろ苦さは、プロ野球の世界で晴らすしかない。【金子真仁】