創部13年目の福島成蹊が、ミラクル快進撃で初の東北大会出場を決めた。

3-6の8回裏、1点差と迫った2死二、三塁から佐藤慎悟内野手(2年)の一塁への打球が、イレギュラーバウンドして2点適時二塁打。金子淳監督(43)は「応援に来てくれた3年生、勝てなかった時期のOBも含め、みんなの気持ちがボールに乗り移ってヒットになたんじゃないかと思う」と劇的勝利を振り返った。

前日の準々決勝では、2回戦で福島の絶対王者聖光学院を下し勢いに乗る学法石川に、7-2と完勝した。金星に大喜びする選手たちは宿舎に戻ると「学石も聖光に勝って油断したのかもしれない。自分たちがそうなったらダメだぞ」と浮かれ気分を断ち切った。新チームになって定めた目標は「県1位で東北大会に行く」。無謀とも言える設定に、金子監督から「目の前の目標を立てろ」と言われたが、決して変えなかった。上遠野浩輝主将は「1年から出ている選手、夏のレギュラー7人も残っているので、みんな自信があった」と本気だった。

今大会は夏の初戦でコールド負けした若松商、春の県大会でコールド負けした学法石川にも雪辱した。抽選会当日の午前中に行われた敗者復活第5代表決定戦から最後の1枠に滑り込んだ。「1試合1試合成長している。これからも成長を続け少しでも甲子園に近づきたい」(金子監督)。決勝の相手は県北支部1回戦で、延長13回タイブレークで惜敗した学法福島。究極の下克上まであと1勝だ。【野上伸悟】