谷口、格好いい! 消防士を目指す男が、一振りでチームの危機を救った。
0-2の5回無死満塁、関東第一・谷口龍汰捕手(3年)が代打に立った。「集中力は続かない。絶対、初球を振ろう。直球がいい投手。真っすぐだ」と、仙台育英・伊藤の攻略法をイメージ。その初球。狙った直球ではなくスライダーが来たが「タイミングは外されたけど、うまく拾えました」と、右中間を破る二塁打で走者一掃。逆転打を放つと、ここから打線爆発だ。この回だけで打者15人9安打10得点で、7回コールド勝ちにつながった。
米沢貴光監督(44)は「茨城出身なんで、力を発揮してくれましたね」と喜んだ。谷口は、つくばみらい市出身。ノーブルホームスタジアム水戸は、小、中学生の時もプレーしたなじみの場所だ。小学5、6年の頃、谷井田スターズでも右中間へ逆転打を放った。「同じことが起きましたね」と、自分でも驚いていた。
2日の決勝に勝てば、10年以来の国体優勝となる。もっとも、9年前は雨による打ち切りで6校同時優勝だった。今回は、真の日本一になるチャンス。谷口は「甲子園で負けた後、みんなでミーティングをしました。『国体がある。日本一を取ろう』と全員一致しました」と士気の高さを明かした。谷口にとっては、泣いても、笑っても、決勝が最後の試合となる。卒業後は野球を続けず、茨城に帰って消防士を目指すからだ。
中学2年の時、自宅で次兄が倒れた。駆け付けた救急救命士が助けてくれた。命を救う姿に「憧れました」。救急救命士の資格も取れる消防士が夢になった。将来の消防士像を「男の中の男。格好いい男になりたい」と思い描く。その前に、チームを救った。格好いい一振りだった。

