磐城(福島3位)は2-1で能代松陽(秋田1位)に逆転勝ちし、優勝した73年以来、46年ぶりの8強入り。

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磐城のエース右腕・沖政宗(2年)が投打でガッツポーズを連発した。8番打者では7回表1死一、二塁、左中間へ逆転二塁打を放って右こぶしを突き上げ、最後の打者を二ゴロに仕留めると「大の字ジャンプ」。岩間涼星捕手(2年)と抱き合って喜びを爆発させた。沖は「初回から『やっちまったな』と思ったけど、2点で返せたかな。バックも熱く守ってくれた」と感謝。初戦の東海大山形戦で完封し、この日は6安打1失点で2戦連続完投だ。

台風19号の影響で2日順延された。磐城は初日の11日、27年ぶりに勝利して1度地元いわき市に戻った。その後、被害に遭った。沖は台風通過時、祖父母の自宅に避難。高台にある自宅に被害はなかったが、市内を流れる新川と夏井川が氾濫するなど、周辺が膝上まで冠水する光景を目の当たりにした。13日に再集合した選手たちは「野球をやっていていいのかな」と話し合い、全力で戦うことを確認した。

第1試合開始前には球場全体で黙とうをささげ、被災地への募金活動も始めた。沖は「僕たちが今できることは野球だけ。ちっちゃな勝利ですが、勝つことで少しでも元気を感じくれれば。泥臭く全力でギアを入れて戦いたい」。公立校で唯一の8強入り。ひたむきな野球で被災地に元気を届ける。【佐々木雄高】