第92回選抜高校野球(19日開幕、甲子園)の開催可否を決める臨時運営委員会が11日、大阪市内で行われセンバツ史上初の大会中止が決定した。午後6時から会見し、大会会長の丸山昌宏毎日新聞社代表取締役社長が「考え得る限りの防止策を検討してきたが、さまざまな角度から中止せざるを得ない。この1週間、感染者が増え、安心してプレーできる環境を担保できない。選手の心情を考えると断腸の思いだ」などと厳しい表情で話した。

中止は1918年(大7)夏の大会が米騒動のため、1941年(昭16)戦争悪化のためと2度ある。42年から45年は戦争のため春夏とも中断した。センバツは今回が初めて。日本高野連の八田英二会長(70)は「高校野球は学校教育の一環である。選手の健全な発達に重大な不安が生じている。教育関係者として選手の健康を第一に考える。それが原点だと考え、苦渋の決断をさせていただいた」と説明した。選手の安全優先したことが最大の理由で、国内の感染者数が増加していること、出場校の練習状況なども勘案しての中止の決断だった。

4日の運営委員会と臨時理事会後には「無観客での開催」の方向性を出していたが、新型コロナウイルスの感染拡大は終息せず、9日にはプロ野球が3月20日の開幕を4月に延期、前日10日には安倍首相が全国的イベントの開催自粛をさらに10日間程度延長することを要請した。大阪、兵庫でも感染者は増加。当初、日本高野連の小倉好正事務局長(61)は「最終的な判断は高校野球での判断になる」と話していたが、独自に判断する状況ではなくなっていた。

八田会長は4日「中止することは簡単、甲子園でプレーしたいという球児の夢のために」と思いを口にした。主催者側は、この1週間、代表校の関西への滞在期間を短くする、移動のバスの手配、宿舎を1人部屋にするなど、あらゆる感染防止策を考えてきた。だが、ウイルスという見えない敵の前に、無念の「中止」を決定せざるを得なかった。