コロナにも勝つ! 新型コロナウイルス感染拡大による自粛の中、八戸西(青森)硬式野球部の結束は、より深まっている。

2月26日から活動出来ていないが、部員全員でのグループLINEを活用。小川貴史監督(36)の発案で、各自が素振りなどの様子を動画撮影して全員と共有。同監督や同校OBで元日本ハム中村渉コーチ(40)らがメッセージだけでなく、時にはマーカーなどで印も付けながら助言し、技術向上の過程も共有している。

通常の動画作成課題は、投手はシャドー投球5球、野手は素振り5スイング。50メートルダッシュ3本は全員に課した。毎週水曜日には鈴木光広トレーナーから自宅で出来るトレーニングも届く。昨秋までは出場機会に恵まれていなかった高田健也内野手(3年)は「動画だとあとから何回でも見返して確認できるから良い。スイングのバランスが良くなったと監督に言われて、早く良いパフォーマンスを見せたい」とレギュラー獲得への意欲も増進中だ。

マンネリを防ぐため「1分間腕立て伏せ選手権」「1分間スピーチ大会」などのイベントも実施してきた。各自が動画で思いを明かす中、河村和真外野手(3年)は同校教師のモノマネを披露。クオリティーの高さで部員らを驚かせただけでなく「次はどのレパートリーを出そうか…」と役割を担う。エース左腕・山田英寿(3年)も「みんなの楽しそうな姿に自分も笑顔になれました」と感謝。「フォームを見つめ直す良い機会になった。春は東北大会、夏は甲子園に行きたい」と目標を失っていない。

小川監督は「技術的な成長もあるが、普段は内気な選手がLINEだと意見を言える発見もあった。指導者としても1人1人分けて全員と向かい合えたので有り難かった。野球にどう生かせるか楽しみです」と手応え。八戸市は感染者も増え、3日には同市内の小中学校が17日まで休校延長が決定するなど今後も不透明だ。青森県高野連は春季地区大会は中止も、県大会の予選と本大会は実施予定。再開を待って、心技体の成長を披露する。【鎌田直秀】