昨夏の中学硬式NO・1チームでもまれた「紅一点」左腕が、高校女子硬式野球のクラーク仙台(宮城)に入学すると5日までに分かった。最速119キロを誇る網代日美樹(ひびき)投手(1年)は、部員170人を超える世田谷西リトルシニア(東京)出身。同シニアは昨年8月のジャイアンツカップを制した強豪で、網代はただ1人の女子選手としてプレーした。今春から東北で高校女子野球の頂点を目指し、心技体を磨いていく。

4日に入寮した網代は、咲き誇る桜の前で決意を新たにした。「今以上に球速を上げつつ球種も増やして、エースとして全国優勝したい」。同シニア在籍時には横浜緑(神奈川)や九十九(千葉)などの強豪相手に登板経験もあり、昨春の日本リトルシニア全国選抜(大阪)では厳しい競争に勝ち、ベンチ入りを果たした。「男子に負けないという気持ちだった。初めての全国大会出場で絶対にメンバー入りしたいと思っていた」と笑顔で振り返った。登板機会はなかったが、全国舞台の雰囲気を肌で感じた。

すでに完成度が高い網代には他の強豪校からも誘いがあった。それでも「去年4月の選抜大会決勝戦を生で見て、先輩たち(現3年生11人)のレベルが高く、自分のシニアとは違う良さの雰囲気が出ていた。ここで野球がしたいと思った」と、クラーク仙台進学を決めた。

昨年、網代が練習参加した際に投球を見た元楽天投手の石田隆司監督(30)は「体は細くても投げるボールは強い。でも一番は野球が大好きという気持ちが伝わった。その気持ちがチームを良くしてくれる」と将来性を感じた。最速125キロのエース右腕・小野寺佳奈(3年)との左右2枚看板の期待も高まる。創部3年目ながら全国準Vを2度経験しており、網代の快速球が初優勝のピースを担う。

◆網代日美樹(あじろ・ひびき)2004年(平16)10月1日生まれ、川崎市出身。宮前小1年の時に貝塚子ども会で野球を始める。富士見中では世田谷西シニアに所属。関東連盟所属の女子選手で結成される「NEWSガールズ」では主将兼エースで4番も務めた。趣味は音楽鑑賞。目標の選手はDeNA今永。左投げ左打ち。162センチ。家族は両親、兄、妹。