新型コロナウイルス感染の影響で、センバツに続き、今夏の甲子園大会の中止が検討されていることが判明した。

日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏(49)はコロナの影響の大きさを認めながらも、率直な疑問を口にした。

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まだ正式な決定が出ていないのに意見を言うのは気が引けますが、私の中では大きな疑問があります。「なぜ5月20日の時点で甲子園大会の開催の有無を決めなければいけないのか?」という疑問です。センバツ大会の中止は開催日の約2週間前の3月11日に発表されました。夏の甲子園はまだ出場校も決まっていないし、さすがに大会の2週間前まで待てないでしょうが、せめて地方大会が始まる1カ月前までは待てるのではないかと思えます。

コロナの影響を軽んじているわけではありません。ただ、春のセンバツ大会前はこれからウイルスが広がっていくという状況であり、大会の中止も「仕方ない」と思いました。しかし今は、まだ予断が許されない状況とはいえ、終息に向かっているのも事実でしょう。そんな流れの中で中止を決めるのは、納得しかねてしまいます。

今回のコロナ騒動で厄介なのは、見通しが立てにくい未知な部分があるからです。もちろん、コロナの感染や死亡者が出るのを最大限に防ぐのは重要です。しかしその一方で経済活動が停止し、生活で苦しむ人もたくさんいます。難しいのはどちらかを優先すると、一方の被害が大きくなるという点です。どんな政策をとっても、一方の側から不満が出る環境に陥っています。

高校野球と経済活動を一緒にするな、という意見は当然です。中止の決定が遅れれば、その分、ゴタゴタするのも承知しています。普段の学校活動さえ正常に機能していないのだから、野球なんて二の次だと言われれば、その通りだと思います。今後、コロナの第2波が来れば、その時点で中止を決めるのは仕方ありません。ただ、今の流れに逆行するような方針で中止を決めるのは納得できません。せめて6月中旬まで決定を待ってもいいのではないでしょうか。(日刊スポーツ評論家)