たとえ甲子園への道が閉ざされようとも、揺るがぬ評価を獲得している猛者がいる。名門の主力を張る野手を紹介する。

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智弁和歌山・細川凌平内野手(3年)は昨秋、プロ入りをかなえるため1つの決断を下した。「ショート1本で勝負する気持ちで固まっている。高卒でプロがずっと目標だったので、そこに向けてのチャレンジ」。中堅手から遊撃手への転向。ボーイズリーグ日本代表として世界一を経験した中学3年以来3年ぶり。先を考えた中谷仁監督(41)の助言もあっての判断だ。

身体能力と打撃技術を評価されている。50メートル5秒8の俊足を生かした守備は伸びしろ十分。打撃では昨秋の公式戦8試合で31打数15安打12打点、打率4割8分4厘とリードオフマンとしてチームを先導した。ある球団のスカウトは「タイミングのいい打ち方をしてるしパンチ力がある。(逆方向の)左翼にも強く打てる」と攻守でのセンスを認める。

1学年上で現楽天の黒川からは「俺は怒ることしかできなかったけど、お前は周りの話も聞くこともできる」というエールとともに主将を受け継いだ。「黒川さんが一番身近でともに行動させてもらった人。(去年の)ドラフトの日は自分にとって本当に熱く燃えてくるモノがあって、来年はこの立場にと思った。その目標を達成させたい」。好きな言葉は「志高心強」。バッグやグラブに刺しゅうも入れている。志を高く、心を強く持つ。細川にぴったりな言葉とともに、夢へ向けまい進する。【望月千草】