夏の甲子園中止の発表に、帝京(東京)・前田三夫監督(70)は「覚悟はしてましたが、胸に迫るものがあります」と無念を隠さなかった。

真っ先に思うのは、3年生のこと。「彼らの心情を思うと非常にかわいそうです。甲子園は1つの夢ですから。非常に…。断念しないといけない。かわいそうです」とつぶやいた。だが、すぐに続けた。「甲子園は中止になりましたが、これで彼らの夢が終わったわけじゃない。前を向いて、これから頑張ってもらいたい」。

学校は今月いっぱい休校で、部員に会えるのは早くて6月初めだ。まだ10日間もある。そこで、前田監督は初めてLINE(ライン)で動画を送ることを決めた。「選手たちに前向きになってもらいたい」という願いからだ。何を伝えたいか問われ、こう答えた。

「今のチームは昨秋の都大会で準優勝し、団結力がありました。強かった帝京に近い動きでした。褒めてあげたい。その頑張りは絶対、無駄にはなりません。また、甲子園の夢は断たれましたが、これからも夢を持って、野球をやめるな、続けろと伝えたい。培ったものを今後に生かして欲しいです」

最後は「3年生は甲子園がない中で頑張った背中を、後輩たちに見せてもらえれば。つらいけど、スポーツマンとしての姿を見せて欲しい」と願っていた。