“夏出場”は、思ってもみない形で巡ってきた。2年ぶりにつかんだ春切符が、2年ぶりの夏の甲子園につながった。15日から通常練習再開を予定する大阪桐蔭・西谷浩一監督(50)は「ありがたいことです。しっかり準備をして臨みます」と気持ちを引き締めた。

5月20日、センバツに続いて夏の甲子園大会中止も決まった。「どうやって3年生を導いていけばいいのか、ずっと模索していました」。12年、18年と史上唯一の2度の春夏甲子園連覇を果たした名指導者にとっても、先の見えない、苦しい毎日だった。

大阪府高野連が今月6日、大阪大会に代わる代替大会の開催を発表。チームとしての1つの目標ができた矢先、チームで甲子園の土を踏む機会が訪れた。西野力矢内野手ら現3年生にとっては、最初で最後の甲子園出場になる。「思い出を作りに行くのではなく、成長の場にしなければ。どうすれば自分たちの成長につなげることができるか、じっくり考えて臨みたい」。普段は大会を通じて成長し、勝ち進めば進むほど大阪桐蔭は進化する。今夏、その機会は1試合。試合時間のすべてを、人生の糧にする。【堀まどか】