山形県高野連は25日、独自代替大会「山形県高校野球大会2020」(7月11日開幕)の組み合わせ抽選会を行い、各地区で行われる1、2回戦の組み合わせを発表した。

昨秋に県準優勝し、3年ぶりの夏頂点に挑む日大山形(村山地区)は初戦の2回戦(同12日午前10時開始)で山形東と対戦。昨夏と秋の県王者で「甲子園交流試合」(8月10日開幕、甲子園)にも出場する鶴岡東(庄内地区)は、鶴岡中央との初戦(同12日午前9時半開始)が決定した。3回戦以降は、勝ち上がった全16校での再抽選となる。

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名門の主軸を担う荒木拓己外野手(3年)にとっては、父でもある荒木準也監督(48)との大きな夢が消えた。「親子で甲子園に行って日本一になると決めて、日大山形を選んだ。正直、甲子園がなくなってショックだったけれど、代替大会を用意していただいた高野連の方に感謝して、支えてくれた親に自分のプレーをしっかり見せたい」。母も見守る親子の集大成で優勝し、東北大会(8月9日開幕、宮城・石巻市民球場)出場は最低目標。少しでも長く父との野球を継続させる。

幼少期から父の姿に憧れ、背中を追ってきた。日大山形、東北福祉大、プリンスホテルで全国を経験した父と同じ外野手としてグラウンドに立つ。母校の監督に就任後も、父は時間のある限り寄り添ってくれた。「投げ方、技術、すべては父が教えてくれた。それ以上に野球人としての心を学びました」。1年時の秋、山形学院戦で自身の一打で2-1と勝った。帰宅後の食事中、「お前に助けられたな」とかけられた喜びは、今でも忘れられない。

甲子園中止発表の数日前、自宅で打撃指導を受けている時のひと言で前向きにもなれた。「お前はこれからも野球を続けるのだから、落ち込まずに先を見据えて頑張れよ」。涙をこらえながら、スイングの力は増した。「次の大会が高校最後。自分が勝たせます」。父とチームを、再び助ける。【鎌田直秀】