第102回全国高校野球選手権(甲子園)中止に伴う代替大会が、東北各県で始まる。注目校や選手を「白球にかける夏2020」と題して紹介。第1回は7月1日、東北一番乗りで開幕する岩手編です。

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黒沢尻工の昨夏4強メンバー畠山夢叶内野手(3年)は、主軸として頂点を目指す。昨年は1、2番で好機をつくったが「ホームランを打つ4番ではなく、ヒットで次につないで点を取る。去年と同じ気持ちで臨みます」。日本ハム近藤健介外野手(26)の打撃を理想に掲げ、巧みなバットコントロールで外角を打ち返すすべを追求してきた。

八幡平市の安代小時代はクロスカントリースキーで県1位。同中では県選抜選手となった。「足腰や体幹を鍛えられたのは野球にも役立っています」。多岐のスポーツに携わるトレーナーへの夢もあったが、工学に触れることで「鉄道員になりたい」と新たな希望も抱き始めている。

昨夏の準決勝は、花巻東を5-4とリードしたが、好投していたソフトバンク育成1位石塚綜一郎捕手(19)が右指のマメをつぶして降板し、8回表に一挙7失点で惜敗した。今大会も順当なら準々決勝で対戦。コロナ禍で私学以上に活動制限がある県立校だが「部員間のコミュニケーション能力は先輩たちよりも身についたと思う。大人になってから今学べていることを子どもや地域に還元出来るような人間になりたい」。北奥地区では県大会出場を懸けて2日に水沢第一と対戦。甲子園出場の目標は消えたが、岩手県優勝の歴史を残す。【鎌田直秀】