福岡大会の福岡地区大会予選リーグが行われ、公立の香椎が4本塁打を含む12-7で筑紫台を下し、4日に続く打線爆発で連勝を飾った。

プロ複数球団から最速145キロ右腕として評価が高い投手兼務の5番・牟田稔啓(じんけい)外野手(3年)は、登板機会はなかったが、打っては人生初の2打席連発で貢献だ。憧れるエンゼルス大谷翔平(26)ばりの投打の「二刀流」で頂点を目指す。

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プロ複数球団が投手で注目する「二刀流」の牟田は、打ってもすごかった。人生初という2打席連続本塁打で勝利に導いた。1点を追う5回無死一、二塁のチャンスで燃えた。2-2から高めカーブを「いつも本塁打か三振かというフルスイングで狙っています」と豪快に振り抜き、試合をひっくり返す左越え3ラン。さらに6回1死一塁。今度は「初球から積極的に振るアプローチも心がけている」と、初球の内角直球をうまくさばいて左越え2点本塁打を放ち、高校通算11本目とした。

この日の登板はなかったが「ピッチングもですがバッティングも好き。将来は大谷選手のような二刀流ができればいいと思う」というパワフルさで5打数3安打5打点と大暴れ。今後の福岡地区大会決勝トーナメントを見据え「優勝を目指します。また本塁打で貢献したい」と気合を込めた。

香椎には外野手で入学した。しかし杉野弘英監督(44)は「ボールが速い。公立校で速いボールを投げる子がいないので、この子を育てたいと思った」と、1年の夏以降、投手としても練習開始。昨秋の練習試合で145キロを記録したことでプロに注目された。

だがコロナ禍で3月から3カ月間の活動休止。影響は大きかったが、牟田に関して「コロナ明けは140キロぐらいだったが、今ではスピードも戻り143キロは出るようになった」と杉野監督。4日の代替大会初戦で、今年の公式戦初登板を果たし1イニングを投げたばかり。徐々に調子を上げ、さらに攻守でけん引する覚悟だ。【菊川光一】

◆牟田稔啓(むた・じんけい)2002年(平14)6月26日、福岡県古賀市生まれ。野球は青柳小4年から軟式の青柳シリウスで始める。中学は九州古賀ボーイズでプレー。香椎では2年春からベンチ入りし新チームからレギュラー。変化球は縦と横スライダー、フォーク。50メートル走7秒0。178センチ、78キロ。右投げ右打ち。