函館の中野遥斗捕手(3年)が、初回の決勝打を含む3安打2打点と気を吐いた。

初回に二塁強襲適時打で先制点をたたき出すと、すかさず50メートル6秒5の俊足を飛ばし二盗し、4番石川大河遊撃手(3年)の右前適時打で2点目の生還。守備では8回1死一塁で、強肩を生かし盗塁を刺すなど、走攻守で奮闘した。

先天性の難聴で、日常生活では補聴器を用いるが、試合中は危険なため外す。「よく聞こえないときは、仲間がしっかりジェスチャーで伝えてくれるので、楽しく野球ができている」。先発で投げた小野寺育主将(3年)は「中野は攻守でチームの中心。ムードメーカーでもある。活躍してくれると盛り上がる」と存在の大きさを口にした。

練習試合では高校通算20本以上の本塁打を打っているが、公式戦はゼロ。野球は高校で引退する予定で、最後の夏に「何とか1本、打ってみたい」。ハンディを抱えながらも、できることに全力で取り組む。

▽函館西・黒坂元主将(3年)「1年ぶりに単独出場がかないうれしい。昨秋は6人しかいなかったが、1年生が7人も入り、秋以降が楽しみ」

▽函館西・高橋英典監督(50)「ミスもあったが立派な試合。1年生がたくさん入り、単独で活動できる。何とか結果を出せるよう頑張りたい」