昨夏準優勝のノースアジア大明桜は、全国一番乗りで8強を決めた。2番手で登板した2年生剛腕・風間球打が、自己最速を2キロ更新する149キロをマーク。2回を5者連続三振に切って取る圧巻投球だった。プロ志望の145キロ右腕・長尾光(3年)も先発で5回1失点と好投し、7回コールドに貢献。

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182センチの剛腕・風間の進化は止まらない。背番号9をまとい6回からマウンドへ。先頭には5月の紅白戦で計測した147キロを1キロ上回る148キロで三振を奪い、次打者は鋭く落ちるスライダーで封じた。さらに3人目の2球目は149キロを計測し、わずか11球で3者連続三振。この回だけで2度も自己記録を塗り替え、スタンドで見守る保護者をざわつかせた。

7回も2者連続三振と右飛で試合を締め「自己最速が出て良かった。思いっきり投げることを意識した」。充実の2回25球だった。風間は4兄弟の三男で全員の名前に「球」がつく生粋の野球一家で育った。昨春の東北大会も経験し、昨年7月17日、スーパー1年生として138キロの速球を武器に夏の大会デビューし、準優勝に貢献した。

昨冬は細身の体をパワーアップすべく体重増加を目指すも、思うように増えず、キレのある体作りにシフトチェンジ。走り込みを多くこなし、下半身強化で球威は上がった。79キロの体で好パフォーマンスを発揮。1年で11キロ球速アップし「自分でもここまで球速が出ると思わなかった」と驚きつつも「順調に伸びている」。150キロは「もう少しで出そう」と自信を示す。

大台挑戦と合わせてスライダー、フォークなど変化球の精度向上を目指す。「変化球で全然ストライクが入らない。変化球でストライクを取って真っすぐで押したい」とさらなる進化を誓う。

輿石重弘監督(57)は「(風間は)テンポよく投げるタイプ。ストレートが良かったので、押せると思っていた。先発も考えている」。明桜は風間、長尾だけでなく、この日登板のなかった佐々木湧生、橘高康太(ともに3年)の2投手も140キロ以上の直球を操る。3年ぶりとなる夏の県王者へ「140キロ超えカルテット」が剛速球のハーモニーを奏でる。【山田愛斗】