福岡では福岡地区大会予選などが開催された。プロ注目で強肩強打の福岡第一・岸本暖捕手(3年)が、憧れの阪神梅野から贈られたミットをはめて奮闘した。昨夏代表の筑陽学園に3-7で敗れたが、阪神、ヤクルト、ロッテなどのスカウトの前で適時二塁打も披露。梅野の存在も活力にして、プロ入りを目指す。

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“梅野2世”を目指す岸本が、公式戦で初使用の「梅野ミット」で奮闘した。福岡地区大会予選リーグの筑陽学園戦で「革の張りが違う。ボールを受けた時にいい音がするし、キャッチしやすい」という宝物をはめ、気合を入れた。

9歳年上の兄優さんが1学年上の阪神梅野と小、中で同じ野球チームに所属した縁で、親交がある。昨秋県大会優勝後、キャッチャーミットをサプライズでプレゼントされた。希望進路は「プロ1本。コロナでこういう形になりましたが、逆にプロへの気持ちが出た。スカウトにアピールしたいです」と声を弾ませた。

複数球団のスカウトが注視する中、3回2死一塁でこの日初めて1・8秒台のプロ並みの二塁送球を披露した。二盗を許したが、ロッテ福沢スカウトが「体がしっかりしていて将来的に楽しみ。能力は高い」と評した動きを見せた。

9回には長打力も見せた。2死一、二塁でカーブを捉え、左中間に適時二塁打を放った。それまでは力みもあって結果が出ず、四球、遊ゴロ、空振り三振、左飛。だが最終打席で「左中間に強いライナーが打てるのは調子がいい時。最後に出たので次につながる」と手応えをつかんだ。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で約2カ月間練習ができず、再始動は6月に入ってから。活動休止中も自宅で部の仲間とティー打撃などを続け、体重88キロのガッチリした体つきになった。スケールアップした強肩強打で、梅野の背中を追いかける。【菊川光一】

▽日本ハム林スカウト「体が強い。力があり、素材のいい選手です」

◆岸本暖(きしもと・だん)2002年(平14)8月3日、福岡県那珂川市生まれ。野球は小1から片縄ビクトリーで始める。那珂川北中時代は糸島ボーイズに所属。福岡第一では1年春から正捕手。2年秋から4番。二塁送球1・85秒。遠投100メートル。178センチ、88キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄。